「人生」というのは自分の外にある何かふわふわした地に足のつかない抽象的なものではなく、つねに特定の個人とひもづけられた具体的で一回限りのものなのだと思うのです。 私は「一期一会」という茶道の言葉を思い起こします。
これは広く知られているように、「茶会に臨む際には、そこでの出会いは二度と繰り返されることのない、一生に一度のものであると心得て、主客ともに互いに誠意を尽くす」ことを意味しています。そこでの本質は、二度と繰り返されない、一回限りの具体性ということです。
そして、生きることがわたしたちに向けてくる具体的な問いに対して実際にどう応えるのか、その小さな日々の積み重ねがその人の「人生」になっていくと思います。
その人生の積み重ねこそが、ほかでもない「あなた」そのものなのです。
どのように生きるべきかを考えるのは、とても大切なことです。
でも、考えるだけでは意味がありません。あなたが具体的な一歩を踏み出さなければ、あなたの人生は駆動しないからです。
大切なのは、自分はどう生きるのかという問いであると同時に、その実践だと思うのです。