「勉強や運動」が続かない人が陥りがちな勘違い

三日坊主にならないよう、私なりに考えているやりたいことを習慣化させるコツをご紹介します。

「やると決めたことを続けられれば、人生は変わる」。これについては、異論がない人がほとんどだと思います。問題は習慣化を精神論や根性論で乗り切ろうとすることです。
精神論や根性論で乗り切ろうとするとつらくなり、結局続けられなくなることです。
「習慣化を成功させるために大切なのは、習慣化を妨げているボトルネックがどこに存在しているのかを把握してアプローチすることが重要だ」と思うのです。

「何をやっても続かない」「やめられない」「先延ばししてしまう」といった悩みを持つ人への対策をいくつか紹介したいと思います。

続けられない、やめられない、先延ばしする。
皆さんはこんな悩みはないですか? 

■早起き・運動・受験勉強・片づけ、などを続けられない。
■食べすぎ・飲みすぎ・スマホの見すぎなどをやめられない。
■新しいことをはじめたいけど、失敗が怖くて行動できない。
■面倒な書類・報告書など、嫌なことはいつも先延ばししてしまう。

「続けられない」「やめられない」「行動できない」「先延ばしする」――。
行動面での悩みは、4つのキーワードに集約されていると思うのです。

これらは、根性論で無理やり突破せずに、「自分をうまく乗せる」方法を見つけることで打開しやすくなります。ただ、100人いたら100通りあります。
人それぞれだと思うのです。残念ながら「あなたにはこれがぴったり!」と提示できるものではないと思ってください。
私は私の経験から自ら気づけるように、多様な方法とヒントを紹介いたします。参考にして頂ければ幸いです。

まず、簡単に「習慣化に」ついて概略を解説します。
なぜ私たちは1つのことを続けられないのでしょうか?
結論から言うと、脳には安全を守るために「新しい変化に抵抗し、現状を維持する」機能があるからです。これを「習慣引力」と呼ばれることもあるようです。
新しい習慣をはじめる。また現状の習慣を変えようとすることは、脳にとって「新しい変化」なのです。そこによい習慣も悪い習慣もないのです。
必死に変化に抵抗するため、三日坊主に陥るのです。

一方、脳は一定期間続けると今度はその行動を「現状維持」しようとします。ある行動が無理なく続くのは「現状を維持する」段階に入っているからです。
これこそ習慣化された状態です。

習慣にはさまざまな種類がありますが、片づけ・節約・受験勉強・報告書作成・などの習慣は、習慣化に要する期間は3カ月。
ダイエット・運動・早起き・コミュニケーション・禁煙など身体のリズムに関わる習慣は、習慣化への期間は前者のおよそ倍の6カ月が必要であると言われています。

ここでもっとも重要になるのが、続けるモチベーションです。やる気が燃えるのは「アメ(快感)系スイッチ」と「ムチ(強制力)系スイッチ」のどちらでしょうか?
おおむね、ムチタイプである方が多いと言われています。

一方、アメタイプの人は、「報告書作成」ができたらおいしいコーヒーを飲む」とか、「ダイエットができたら洋服を買う」とご褒美などの快感を主軸に自分を乗せていきます。

■モチベーションのスイッチを紹介

さてここからは、「行動の習慣」を変える方法を一部ご紹介します。続けるモチベーションのスイッチに万能薬はありませんので読みながら自分に合うものを探求してください。

1. 楽しむことを第一優先にする

「楽しむ!」は、習慣化において意外と見落とされがちなポイントとされています。
まずは「苦痛なことでも根性で続けることにこそ、美徳がある」という価値観から解放しましょう。そういう人は、楽しみながらやれることは遊びでしかないと思いがちです。
でも、無理に楽しくないことをしても長続きしません。なぜなら私たちは感情を持った生き物であり、原則、好きなことは続くし、つらいことは続かないからです。

  例えば、ジムに行っても、ランニングマシンが苦手でどうしてもやる気になれません。でも水泳は好きなので行くのが楽しみになります。
もし運動をはじめたいと思っているなら、テニス、ヨガ、卓球、ウォーキング、なんでもいいので、楽しめるかどうかを第一優先にして選んでみてください。

これは、早起きや片づけなども同じです。いかに楽しむかを先に考えないと、義務感やノルマだけで自分を動かそうとするとずっと大変なままです。
「なにをすべきか」ではなく、「なにをしたいか」からスタートしてくことです。

2. 「これならできる!  」からはじめる

私の友人で20年間毎日、日記を書き続けている人に継続のコツを聞くと、答えは「無理しないこと。1行だけでもいいから、毎日書くこと」と言っていました。
この「ベビーステップ」こそが、行動や継続の神髄です。ベビーステップとは、なにかをはじめるときに赤ちゃんのような小さな一歩から踏み出すことです。
行動を起こすまではとても気が重かったのに、一歩踏み出してみたら、やる気が後からついてきて行動が進んだといった経験はないでしょうか? 

私たちは行動を「0」から「1」にするのに膨大なエネルギーが必要ですが、「1」を「2」を「3」にするのは、さほど力がいらないものです。
初動がもっともパワーを必要とするのです。
これは、力学的エネルギーにおいても同じことです。

  続けられない人は、例外なく完璧主義者です。そのため、日記を1行だけ書くという発想は出てきませんし、「どうせやるなら、ちゃんとやらないと意味がない」
とハードルを高めてしまいます。
しかし、無意識にその高めたハードルが今度はノルマになり、なかなか行動できなかったり、続かなかったりするのです。
このベビーステップではじめるという習慣は、先延ばしする、続かない、行動できないという悩みにと変わって行きます。
 ポイントは、「面倒」「怖い」「不安」などの感情が出てこなくなるまで徹底的に行動のハードルを下げることです。
そして、継続のためには初動のハードルを下げてでも行動をゼロにしない、ということです。

〈ベビーステップの具体的な設定方法〉
・ジョギングをする → ウエアに着替えてみる。
・ダイエットする → お昼ご飯のライスを3分の二にする。
・片づける → 5分間だけ片づけをする、トイレだけきれいにする。
・禁酒する → ビール3杯のところビール2.5杯に減らす。
・朝5時に起きる → 今より10分だけ早起きする。
 これなら一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか? 

■感情レベルでピッタリ合うものを選ぶ

3. 試しにとりあえずやってみる

感情レベルで自分にぴったり合うものは無理なく継続できます。自分の気持ちが乗るか乗らないかは、実際にやってみるとはっきりわかります。
例えば、「運動を日課にしよう!」と決めたとします。ジョギングやテニスなど、どんな運動だと自分は乗るのかを知るためにとりあえずよさそうなものをいくつかは、やってみることをお勧めします。そうすると、「ジョギングは驚くほど気持ちがいい!」とか「テニスは思っていたよりも楽しくない」など、心身が教えてくれます。
また、「朝に走るのがいいか、夜に走るのがいいか?」と迷ったときは、まずは両方試してみることです。正解はないので、試してみて自分の気持ちが乗るほうでやればいいのです。

 やってみるだけでなく、実験的に”やめてみる”というアプローチも効果的です。例えば、「試しに1週間、朝15分間だけメールを見ない」「不要そうなテレビをまずは2週間やめてみる」「22時以降はスマホを見ないように3日間だけ電源をオフにする」という具合に実験してそして、継続のためには初動のハードルを下げてでも行動をゼロにしない、ということです。

〈ベビーステップの具体的な設定方法〉
・ジョギングをする → ウエアに着替える
・ダイエットする → お昼ご飯のライスを半分にする
・片づける → 5分間だけ片づけをする、トイレだけきれいにする
・禁酒する → ビール3杯のところビール2・5杯に減らす
・朝5時に起きる → 今より15分だけ早起きする

 これなら一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか? 

 やめることの弊害を恐れている場合、試しに少しだけやめてみないと、どの程度弊害があるかわかりません。実際に弊害が生じれば戻せばいいという安心感のもとでやめる実験をしてみて、よければ採用すればいいのです。やると決めたから「ずっとやらなければいけない」、やめると決めたら「ずっとやめなければいけない」という義務感ほど、自分の気持ちを乗せるのと真逆なものはありません。実験してみて、合うものを取り入れる、ダメならどんどん次のアイデアを出して軌道修正しましょう。

4. 大変な日は「例外ルール」で乗り切る

「毎日1時間、英語の勉強をする」
「朝5時に起きる」
「毎日30分ジョギングする」

 このように決めても、それを同じペースで1カ月間守り通すのは至難の業です。

 例えば、「毎日1時間、英語の勉強をする」と決めていても、「突然のトラブルで残業が発生し、終電帰り」になったり、「上司に怒られて気持ちが落ち込んでいる」「寝不足で疲れていてなにもやる気がしない」「飲み会で酔っていて勉強するには集中力がない」など、さまざまなイレギュラーなことが起こります。
こういうイレギュラーな出来事のせいで、習慣化したい行動をサボる日が続くと、自己嫌悪に陥ったり無力感を感じたりしてやる気がなくなり、挫折の道に突き進んでしまいがちです。

これを未然に防ぐために「例外ルール」を設けましょう。例外ルールとは、イレギュラーな出来事への対応をあらかじめルール化しておくことで、状況の変化に柔軟に対応できるようにする仕組みです。

例えば、「気分が落ち込んだり、疲れたりしているときは、テキストを1ページだけ読めばいい」「23時以降に帰宅する日は帰りの電車の中で単語帳を読めばいい」といったルールが考えられます。

■自分を甘やかすためではない

例外ルールは、自分を甘やかすためではなく、継続への柔軟性を持たせるためのものです。とくに完璧主義傾向の強い人は、完璧にできなければ「やらなかったのと同じ」と極端に考えがちなので、例外ルールは非常に有効です。

習慣化のコツは、軌道に乗るまで行動をゼロにしないことです。

ゼロにすると再始動するのにものすごくエネルギーを使います。
疲れているときや予定が詰まっているときは、例外ルールを上手に活用して、「ゼロにしないで、今日も一応やれた!」と思えるようにしてくことです。

5. カタチから入る

 「私はカタチから入るタイプでして……」とおっしゃる人は多いものです。

これはけっして悪いことではなく、習慣化のモチベーションUPのためには有効なことです。
ある女性は、ランニングを日課にするために、少し奮発して高価なウエアを買いました。
「体にもいいことができて、かつ自分が可愛く見えるならがんばろう!」と、彼女は気持ちが乗って来たそうです。
ゴルフでも、高いドライバーやウエアを買いそろえることでモチベーションが上がる人は多いです。
そうすると高いドライバーに見合う技術を身につけようと、練習に励むようになります。

  読書日記やメモをつけるにしても、まずはつねに持ち歩きたくなるような高級なノートとペン(ノートパソコンやタブレットでもよいでしょう)を用意すれば、それを取り出して書きたくなるものです。そして自然と読書日記やメモをつけることが習慣化されていくのです。

  道具やウエアなどを買いそろえるとがぜんやる気になるという人は、ぜひ実践してください。
もし、あなたが行動するときに、カタチから入ることで気持ちを乗せることができるならば大いにこの方法を使いましょう。

「自分をうまく乗せる」5つの方法について紹介してきました。もちろん、これ以外にも方法はたくさんあります。「これならやれそう!」と思うものを見つけて実践してみてください。

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