魂を売らない生き方

自分はどんな人間でありたいのか。どんな生き方をしたいのか。
誰もが考えることでしょう。
多くの人が、できることなら「魂を売らない生き方」をしたいと思うことでしょう。

そもそも「魂を売らない」とは、どういうことなのでしょうか。
個人的には、それは「自分に嘘をつかないこと」なのではないか、と考えています。

自分に嘘をついていると、自分らしさを失います。
つまり、「そこに、自分自身がいなくなる」「自分を押し殺してしまう」ということでもあると思うのです。

たとえば、仕事をする上で、妥協しなくてはいけないことも出てきます。
そんなときでも、

①「これくらいなら仕方ない」と、自分も納得した上で行う。
②「自分のポリシーにおいて、やりたくないことだけど、お金のためだ」と、自分に無理やり言い聞かせて行う。

では、随分、違ってくると思います。

もちろん現代は、生活のために働かなくてはいけないものですが、それでも「譲ること」「妥協するもの」にも、限度はあります。
「どんなポリシーをもっているのか」にもよりますが、後者の②パターンが多い人は、注意が必要だと思うのです。
大概、自分のポリシーに反することばかりをやっていると、心がざわざわしたり、苦しくなったりします。それを無視して行っていると、思いのほかストレスがたまってしまい、心身の病気になることもあるのです。

さらに、ポリシーのない生き方をしていると、場合によっては、お金や出世をちらつかされて、犯罪まがいのことに手を染めてしまったり、人を裏切ったり苦しめたりしてしまうこともあり得ます。
本来、そんな生き方はしたくない人が多いはずなのですが、欲望に負けたり、生活ができなくなる不安があったりすると、魔がさしてしまうのです。

「自分に嘘をつくことで失うもの」は、確実にあるのです。

仕事だからという理由で、魂を売ってしまう人は、「だって、生活があるのだから、仕方ないでしょ?」と考えていることは多いです。
もちろん生活もお金も大切です。でも、お金を稼ぐ選択肢は、本当にその「魂を売るようなこと」しかないのでしょうか。
自分が持っている選択肢は、それしかないのでしょうか?

「自分に嘘をつき続けることで失うもの」は、確実にあります。
前述した「(心と体の)健康」かもしれないし、「自分らしさ」「人としての魅力」「自己への尊厳」かもしれません。
それに伴い、「大切な人との関係」などを壊し、「自信」「幸せ」まで損なわせてしまうこともあり得ます。
つまり、思いのほか、“人生において重要なこと”を失ってしまうことになるのです。

こんなことを言うと、「どこまでの妥協はOKで、どこまではダメなのか、ボーダーラインを知りたい」なんて思う人もいるでしょう。
でも、それは、自分で考えるべきことです。人によって変わってくるからです。
ただ単に「妥協するのはよくない」なんてことを言っているわけではありません。
妥協すること(=折り合いをつけること)は、時として大事なこともあります。
だから、「いい、悪い」の話ではなく、「それを行うことは、自分にとってどういう意味を持つのか」を、その都度、考えていく必要がある、ということなのです。
思考停止になって、単に「目上の人に命令されたから従う」ようなことは、避けたほうがいいと私は思っています。
それでは操り人形状態ですしね!

言い換えれば、そのボーダーラインは、「自分自身が、今の自分に納得できるのか」次第だと言えます。
ただし、いくら自分に言い聞かせて、納得しているつもりでいても、心は悲鳴を上げていることもあります。
だから、「自分に正直であること」は大切だと思うのです。

「武の道」そこには、物欲も企みも嫉妬もないのです。

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