練習が続けられる人には秘密があるのです。
練習が好きという人もいますが、みんながそうとは限らないのです。面倒だし、時にはツラいし、ラクしたいのは人間誰でも一緒です。
しかし、それでも練習を続け、習慣として身につけた人たちのコツは、鉄則に集約されているものです。私が知り得る鉄則を紹介します。
1. 今すぐトレーニー宣言をする
トレーニングをこっそり始めるのではなく、「細マッチョを本気で目指す!」と公言することです。すると周りが冷やかし半分にも応援してくれます。
予定通りに続けられたら「有言実行でさすが!」と褒めてもらえるだろうし、続けてなければ「もう挫折、、?」と皮肉交じりの励ましが得られるのです。
公言通り継続出来れば、影響されてトレーニングを始める知人が出て来る可能性もあります。
そうやって互いのトレーニングを意見交換できる人が現れるかも知れません。そうして互いに切磋琢磨しながら前へ前へと進んでいくようになるものです。
2. 1か0かではない。「0.3」でもよしとする。
練習が続かない人には、誤った発想があります。
それが「1か0か(オール・オア・ナッシング)」という考え方です。
練習ができたか、できなかったかという二者択一で捉えてしまうことです。
何をするかを決めるのは大切ですが、できなかったときに「オレはダメ人間だ」と自ら失敗の烙印を押すのはNGです。
もうその時点で意欲が落ちるものです。
例えば、贅肉を絞るために5km走る。そう決めて5km走れたら成功率100%ですが、3kmしか走らなくても達成率は60%です。
0%ではないのです。仕事帰りにひと駅手前で降りて歩いても、体脂肪を燃やす目的の20%は成就しているのです。
「1か0か」という思い込みを捨てると「できなかった」という失敗体験が生じにくく、前向きになれるものです。
3. カラダを動かしたくなる場所に身を置く。
自宅練習は手軽ですが、挫折することが多いものです。
人は環境に流されやすいので、自宅のようにほっとできる空間で練習するには、頭の切り替えが必要ですし相当な意志の強さが要求されます。
道場やトレーニングジムに身を置くたびに「やるしかない!」と心身のモードを切り替えやすいものです。
自宅で練習が続かないなら、近くの公園や河川敷へ行ってみることです。走る、自転車に乗る、スポーツを楽しむ…。
そんな姿を眺めるうちにカラダを動かしたくなることでしょう。
インドア派は道場やジムに入り、通うだけ通ってみる。
朱に交われば赤くなるで、やがて周囲に刺激を受けてトレーニングに励むようになるきっかけを掴めるかも知れません。
4. カラダ作りは大プロジェクト。一人でやらない。
自己ベスト更新に挑むほとんどのアスリートはコーチ、トレーナー、管理栄養士などのサポートを受けています。
同じく、私たちのカラダ作りにも手助けが不可欠です。運動と無縁のタイプがワークアウトを続け、肉体改造にチャレンジするのは、運動選手が自己新を出すのに匹敵する困難さを伴うものです。
そんな一大プロジェクトをたった一人で完遂できるなどと甘く見てはなりません。
道場やジムに入れば、運動面でも栄養面でも専門的な指導が受けられます。パーソナルトレーナーを付けたら、なお心強い。
お金をかけなくても、共に汗を流す仲間を作れば、一人で取り組むよりカラダ作りプロジェクトの成功率は高まるものです。
5. カラダの社長はあなた。やるやらないは自分で決める。
忙しかったり、疲れていたりすると運動をサボりたくなります。
どうするべきか。あなたが雇われの身なら、サボりたくてもしぶしぶ仕事場に出かけるしかないでしょう。
でも、カラダのオーナーはあなた自身です。サボる、サボらないの決定権は自らに委ねられるのです。
やりたくないときに練習をパスしても誰からも文句は出ない。しかし、仕事を1日サボると翌日ノルマが2倍になるように、一度休むとそのフォローのために次の運動量が増えるのです。
選択肢は2つ。今日頑張るか、サボって次回2倍頑張るか。本当に疲労が溜まっているなら休むことです。
「何となくやりたくない」というサボり心が芽生えただけなら話は別です。
オーナーらしく責任ある行動を!
6.細切れに達成感を得られる仕組みを作る。
意欲を引き出すポイントは、いかに達成感を得て自分を照れずに褒められるか。
「できた!オレってスゴい!」という金メダル級の感動があると、「次もきっと同じようにできる!」というポジティブな見込み感が得られるものです。
達成感は頻繁に得られるほど、やる気は途切れないのです。
大事なのは、最終的な締め切りを決めたら、そこに至るまでの中間目標を細かく定めて小さな一歩を評価する姿勢です。
月での一歩が人類に意味があったように。
3か月後に変身するために週3回筋トレすると決めたら3回ごとに「できた!」と成功のスタンプを押す。
これだと1か月に4回達成感のご褒美が得られモチベーションは下がらないと思います。
7.「ベース7」を守り欲張らない。
道場やジムに入ったばかりの初心者には、ズラリと並んだ筋トレマシンや数々のトレーニングメニューを律儀に全制覇しようと試みる人が多いものです。
何が合うかがわからないうえに、運動経験が乏しいほど遅れを取り戻そうという意識が強いため、あれもこれもと欲張りがちなのです。
「全身性の原則」に従って全身は偏りなく鍛えるべきですが、最低7種目で上半身、体幹、下半身の主要なパーツは強化できる。これを「ベース7」と呼びます。
ビギナーは複数の関節を同時に動かす多関節運動が苦手。関節を一つずつ動かす単関節運動がメインになりますが、それでも7種目で事足ります。
基礎ができて狙いが定まり、多関節運動で一度に複数のパーツが鍛えられたら、より少ない種目数で済むものです。
8.締め切りを設定して頻度を決める。
5kg痩せる、お腹を割る、美尻になる…。そんな願望は「目標」ではなく単なる「夢」。夢を目標に変える第一歩は、締め切りを決めることです。
たとえば、3か月後にゴールを設定したら、逆算して2か月後、1か月後までに何をやるべきかを具体化し、今週のタスクを明確にするのです。
次に逆算したトレーニング内容と頻度が実行可能かどうかを精査します。2か月後に3kg痩せるために週4回6km走るのがベストだとしても、初心者が週4ペースで走るのは難しい。
ならばウサギのようにせっかちにならず、カメのように着実に。平日1回+週末1回の週2回ならイケそうと思ったら、ゴールを先延ばしして4か月後にリセットすればいいのです。
9.客観的な指標でモニタリングする。
練習は裏切らない。誰でも地道に続ければ見合った成果は必ず得られますが、それには時差があります。3日で見た目が変わることはあり得ないのです。
「頑張っているのに効かない」という誤解を避けるには、初期は運動が続いているという事実を記録し、それを成果として認識することです。
加えて重要なのは体重、体脂肪率、お腹まわりのサイズ、心拍数、時速といった客観的な数値の移り変わりをチェックする努力をすることです。
主観的には変わったように思えなくても、ミクロレベルで運動は肉体改造を進めており、客観的な数値の変化が先に表れやすい。
数値で自らの進化が自覚できるようになったら、効果があると確信できて積極的に続けられるものです。
10.トレーニングをイベント化しない。
練習が縁遠い人にとってはランも筋トレも非日常。
前日から「明日は走らなきゃ」とか「頑張ってスクワットをやろう」と身構えていると、一種のお祭り、イベントになってしまいます。
生活に組み入れないと何事も続かないものです。特別視してイベントと捉えていると、習慣化は難しいのです。
顔を洗ったり、歯を磨いたりするように、運動を非日常から日常へ転換しましょう。
そして洗顔や歯磨きが続くのは、構える間もなく短時間でサクサク終わるから。
同様に短時間で終わるメニューを作り、生活に紐付けたら、練習のある暮らしが当たり前となり、無意識に続けられて成果も得やすいのです。
朝食前、帰宅後など、タイミングを固定するとより継続化しやすいでしょう。
雑草なんて言う草はない。
どんな草にも一つひとつに名前があるのです。
人と同じなのです。
人の可能性は、実は自分自身の中にあるものなのです。
つづく