努力とは、、、?

よく聞かれる質問なんですが、「努力って何ですか?」というものです。この「努力」という言葉は、私たちの心を揺さぶるというか、ざわつかせるものがあるのではないでしょうか?
子どもの頃から「努力しなさい」と言われて育ち、大人になると「あんなに努力したのに…」と過去を振り返ることもあり、心がざわつくものです。

それでは、「努力」とは何なのかについて考えてみたいと思います。例えば、皆さん毎日歯を磨いていると思いますが、それを「努力している」とは思わないですよね。同じように、学校に通ったり、会社に出勤するのも、毎日のことなので「努力」とは呼ばれないですよね。要するに、習慣になったものは「努力」とは呼ばれないんです。

じゃあ、「努力」とは何かというと、目標に向かって意識的に労力を投下していることだと言えると思います。私は「努力」を、「方向性」「一貫性」「量」の3つの要素のバランスで捉えています。この3つのバランスによって、それが努力なのか、ただの習慣なのか、遊びなのかが決まるんじゃないかなと考えています。

ところで、努力の明確な定義は難しいです。よくイチロー選手の話が例に挙げられますよね。彼が子どもの頃にバッティングセンターで何千回もスイングしていたことを見て、大人たちは「見てみろ、イチロー選手みたいになるには子どもの時から努力しなきゃいけないんだ」と言います。でも、その当時のイチロー選手がそれを「努力」と思っていたのか、ただ夢中で楽しんでいたのかは誰にもわからないんです。これはすごく微妙なところなんですよ。

努力か夢中か、遊びかを区別する唯一の基準は、本人がどう感じているかです。1万回バットを振ることを「努力だ」と感じているのか、気づいたら夢中で1万回振っていたのか。これは本人の感じ方次第なんですね。だからこそ、外部から「これは努力だ」と決めつけることはできないのが現実だと思います。

私たち競技者や指導者が努力をどう捉えるべきかを考えるとき、努力というものは実際に存在するかどうか分からないけど、あると仮定した方が色々とやりやすくなるんです。例えば、図形の面積を求めるときに補助線を引くと簡単になるようなものですね。

努力というのは、労力をどの方向に投下するか、一貫性があるか、どのくらいの量をこなすかの3つがポイントです。方向性があっても、一貫性がなければ成果は出ませんし、逆に一貫して繰り返すことで効果が見えてくることもあります。

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