人の道

短所を長所に変化させる思考を身につけることの必要性

例えば、世の中には正解のある仕事と正解のない仕事があるものだと思うのです。「自信がない」ということは、「自己肯定感が低い」といいかえることもできると思います。
自己肯定感が低い人は、やりたいことがあったとしても、反射的に「自分にはどうせ無理」だとあきらめてしまう癖がついているものでもあるということです。
まずは一歩でもいいから前に踏み出してみれば、物事はなんとかなるものです。

しかしなかなか行動できないとしたら、それは自分に自信が持てないから。
そして自信がないのは、自分で自分を「洗脳」しているからだと思うのです。
「自分に自信が持てない」「自分には価値がない」という「洗脳」を解いていくことが大切なことだと思うのです。
「洗脳」が解けると、さまざまな意味において「一生の自信」が身につくと思います。
「その勘違いが自信を奪う…思考を変えて新発見してください。」

「私には能力がない」は完全な勘違いですし「自信」とは自分の経験を通しての成功体験によって培われることが多いものです。
ところが現実問題として、その目標設定の時点で間違っている人が少なくないということも事実です。
また世の中には、正解がある仕事と、正解がない仕事があるとも思います。

正解がある仕事とは、おもに安全や数字を扱う職種。たとえば医師や看護師、パイロットやドライバー、工場の生産管理・経理などがそれにあたるわけです。
ミスがなくて当たり前。ルーティンをしっかりつくり、完璧という正解を目指して仕事をする必要があるので、正確な作業を繰り返しこなせる人が向いているということでしょう。

一方、文筆業、教師、企画など、正解がない仕事もあります。たとえば文筆家が書く文章には、正解も不正解もありません。
つまり「能力がない」のではなく、単にその仕事が適しているか、適していないかの違いだということです。

人見知りで、行動力がなく、消極的な人は、新規開拓の営業では成果が出せないかもしれません。
でも、そういう人は、ルート営業では才能を発揮することがあります。
新規の相手を取り込むには、瞬発力が必要です。そんな仕事には向かなくても、特定の相手と深い絆を築き、地道に売上を上げていくスタイルが向いている場合もあります。
消極的な人は、その反面とても慎重で、ミスが起きないようにと確認も怠らず、約束を確実に守る人であることでしょう。
とても堅実で、人望が厚い営業マンとして活躍できるかもしれないわけです。

もちろん逆にミスマッチも考えられるでしょうが、だからこそ適した仕事や目標を見つければ、それが最終的に自信へとつながっていくということだと思うのです。
得意分野で勝負していないから自信がないだけなんです。

自信がないと悩んでいる人は、そもそも自分の得意分野で勝負していない人が多いと思います。
正解を目指すことが得意な人がクリエイティブな仕事をした場合、結果的には「自分はなんてアイディアがない人間なんだ」と嘆き、同僚と自分を比較して自信を失ってしまうことになるかもしれません。
逆にクリエイティブな仕事に向いた人が、正確さを求められたり、緻密さが必要な仕事に就くと、ミスが目立って仕事も穴だらけになってしまう可能性があります。
クリエイティブな仕事をしている人が転職したとして、経理や管理の仕事を専門にしている人相手に、事務作業で勝つのは至難の業でしょう。

ルーティンが嫌いで苦手にしている人が、もともとその分野が好きで得意にしている人と同じレベルになろうと思ったら、とてつもない努力が必要です。
しかも、とてつもない努力を払ったところで、その人たちと同じレベルに到達できるかはわかりません。もともと得意で、しかも好きでやっている人に勝てるはずがないのです。
それは結果的には空手の稽古法、技、にも言えることだと思います。

私は、空手道は一般的なスポーツであり格闘技と信じ身体能力を徹底的に鍛え上げる。そのような鍛錬ばっかりを目指して来ました。
それはそれで良かったのだと思います。
しかし35歳を過ぎたあたりから不安を抱くようになりました。
若い身体能力が高い人に組手稽古で手こずるようになりました。
このままでは所詮、身体能力の高い人には必ず負け続ける日がやって来る。そう思うと不安だらけに陥りました。
つまり同じように、もしも「いまの仕事が合わない」と感じているのであれば、それは「向いていないことを確認するための時間」だったと考えることもできるということ。
空手道の理念や技も同じことなのです。

逆に得意な分野で才能を発揮できれば、それが自信につながっていくわけです。
消極的で自信がない? あえてそうしているのでは?
会議の席で、自分の意見があるのに主張できなかったり、なにかやろうと思っても、いろいろ考えてしまって行動に移せなかったり。
そんなときには、「自分を主張できない」「引っ込み思案」「消極的」とネガティブなことを考えてしまいがちです。
しかし、それらをフラットに表現してみてはどうかと思うのです。他力的な表現から、主体的な表現に変えてみるということ。
つまり他力的な表現を主体的な表現に変えるだけで、「目的があって、あえてそうしている」と感じられるようになるの
です。めったに意見を言わないことで重厚感が加わり、結果的に自分の意見が通りやすくなることも考えられるということです。
また、軽はずみに行動しないことが、慎重で確実な仕事につながることもあるはず。
すると「自分を主張できない」「引っ込み思案」「消極的」という欠点は、次のような長所も兼ね備えていることがわかるわけです。

「自分を主張できない」→「思慮深くて重厚」
「引っ込み思案」 →「つねにまわりにしっかり配慮できる」
「消極的」 →「慎重で、確実な仕事をする」

「すぐ行動に移さない」という主体的な表現は、「自分はすぐ行動する前に、しっかりと慎重に判断する」という解釈も可能になるはずです。
また、自分が消極的だと悩む方も多いでしょうが、その消極性が自分自身を守ってきたという事実にも目を向けるべきだということ。
行動して傷つくことを避けるため、潜在意識が「気楽に意見を言うな。慎重に行動しろ」とブレーキを発動していると考えられるわけです。
たしかにこのように考えていけば、短所だと思っていた部分を長所として活用していくことができることでしょう。考え方次第で、いろいろなことを改善できるというわけです。
空手道の技と心も同様なことだと思います。

身体能力は限界があります。20歳代と60歳では比較にならないでしょう。反射神経、動体視力、視野など神経系も衰えは顕著です。
しかし「感」つまり直感力はそう簡単には衰えることはない事実があります。

例えば、直感、感覚を頼りに超一流の仕事をする仕事人も現実的に存在するということです。
ロケット燃料バルブやレーシングカーのクランク・コンロッドの研磨をする職人の方々は、ミクロの世界を自分の長年の手先の感覚で得た直感と手法で数ミクロンな単位に研磨し重量バランスを整えて行きます。工作機械にはできない長年鍛え上げた人の感覚・直感が鋭く勝っている事実です。
どんなに制作ロボットが進化した時代にも最終的な仕上げは人の経験値に頼っています。
空手道の技にもほんの数センチ、コンマ数秒での見切り、脱力と瞬発力のタイミングを磨くことは偉大な目標であるのです。またそこには力まない心を培うことを忘れてはいけないのです。