空手と科学

「 蹴りの基本稽古 」と「 蹴りの risk 」 !

【蹴りの基本稽古】
 
両脚を肩幅程度に開き、両足を並行になるように立つ。
背筋を伸ばし、顎を軽く引く。
次に、膝に柔軟性を持たせる為、若干、重心を落とす。
膝の動きは「 蹴り 」の important element ( 大切な要素 )を担う。

両手は、帯の横を軽く持つ。
その状態から、大きな運動 energy を必要とする蹴りから training を開始する。
身体全体の機能を大きく使う蹴りから training を開始することは、身体全体のbalance の取り方や、身体全体の筋力の連動・解放の timing 掴むために大切なlesson point の一つでもある。

普通は、小さな身体の動きの蹴りの training から始める道場が多い。
小さな動きで素早く蹴る training を最初に始めると、身体全体のbalance の取り方・筋力の連動・解放といった timing をそのまま大きな蹴りへと引きずってしまう。
軸脚のバネ、腰の回転力、蹴り足の膝のバネ、足首のバネのタメ込みや解放が十分に身に付かないまま、蹴り急ぎな、中途半端な蹴りの癖が身に付いてしまう。
また、実際は、動作の大きい蹴りより、動作が compact な蹴りの方が遥かに高度な身体動作を必要とするものである。
compact な蹴り動作の中で、十分に筋力のバネをタメ込み、それを一揆に開放する spot で impact する蹴りは、非常に delicate な balance 感覚を必要とする。

beginner (初心者)は、無理のない高さの蹴りの training から始める。
intermediate (中級者)・advanced (上級者)に沿って高さを目指す。
expert (有段者)は、compact で切れのある high-level な蹴りを目指そう。
( 切れのある punch 、切れのある蹴りとは、科学的に何を意味するのかはいずれ紹介したい。)

ゆったりとした動作で、身体全身の torque の連動をしっかりと意識して、4回程、蹴ってみる。
徐々に speed を増し10本程蹴る。
このようにして、前蹴上げ、膝蹴り、前蹴り、廻し蹴り、横蹴上げ、横蹴り、三角蹴り、股間蹴り、後ろ蹴りの順で training する。

important なことは、軸足の開きを最小限に抑えること。
蹴り急がず、十分に全身の torque をタメ込み maximum に一揆に全身の torque を解放することである。
(軸足の開きが早いと腰の開きが早くなり、蹴り足の head speed は上がらない)
蹴った軌道に沿って、蹴り足と膝をたたみ込み、元の位置に戻すことも大切な factor である。

蹴り足の torque のタメ込みの timing もまた、大切な factor である。
軸脚の安定が、蹴り足の head に身体全体の torque を伝える基となる。
全ての蹴りは、蹴り足の膝のバネをなるべく下方でタメ込む。
蹴り足の膝が、前方へ動き出す前にしっかりと蹴り足の膝のバネをタメ込むことである。
右足で蹴る時には、左脚に身体の重心を移動しなければ蹴ることは出来ない。
この重心移動の瞬間に蹴り足の膝のバネを一揆にタメ込む。
膝が前方に動き出したら、膝のバネを解放しつつ蹴り動作を開始する。
impact の瞬間に蹴り足の head speed が最大加速に到達するように一揆に蹴り抜く。
蹴り抜いたら、足先の脱力と同時に素早く引き戻す。

蹴りの出来、不出来は、以上の蹴り足動作を支える軸足の balance 、腰の sharp な切り返し、膝の lead で決まる。
この腰の回転力をより sharp なものに補うのが、上半身の体幹筋力である。
上半身の体幹筋力を蹴る方向と反対方向に timing 良く引き締めることで、蹴り足はしなやかさと speed を増す。
体幹筋力の使い方は、大変 delicate な為、簡単に身に就くものではない。
根気良く、training を繰り返しその rhythm を感じ取って行くことである。

横蹴りは、蹴り足の踵を hit させようと意識しすぎないことである。
蹴り足の踵を意識しすぎると蹴り足の head speed は落ちる。
組み手や実戦で足の踵で確実に impact することは expert でも難しい。
日常生活に於いて、靴を着用している時はなおさらのことである。
足の踵で横に蹴り出す動作は、動作そのものが大きい為、踵で impact させようとすればするほど上体や腰が開き、次の攻撃に備えるのが遅れてしまう。
実際には、いくら踵で impact しても蹴り足の踵だけが hit することはあり得ない。
ほぼ、蹴り足側面全体が hit するものである。
踵を意識するより、膝のバネで、より sharp に蹴り出し impact する方が動作全体が小さい為、head speed も速い。
また、次の攻撃に備えることも素早くできる。
横蹴りという蹴りを行使する timing は 相手の軸足、相手の蹴り足の着地の瞬間、相手のpunch の瞬間などで counter を狙う合わせ技として行うことが多いものである。
また、対多人数などである。
事実、キックボクシング系ではほとんど活用されていない。

【蹴りの risk】

私は、ホームページ上で、蹴りには risk を伴う。と述べている。
事実、そうである。
しかし、適切な Engel・distance・position しだいでは、蹴りは最大の武器にもなる。
何故なら、蹴りの impulse force は punch の比ではない。
一蹴りで down を奪うことができる crash force を持つからである。

先ず、蹴りにはどんな risk があるか考えてみよう。
組み手を始める時、互いに構えをとる。
互いに1step in しなければ顔面 punch が hit しない position に構えをとるのが通常である。
手を伸ばせば、顔面に punch が hit する position に構えをとるのは論外である。
punch も kick も in step して初めて相手に impact させることができる。
要は、その distance を造るまでの process(過程)・timing・kick engel が risk にもなり武器にもなることである。

蹴りを相手に hit させるまでの process を考えてみよう。
punch は in step と同時にほぼ瞬時に打てる。更に左右どちらでも打てる。
punch は非常に瞬間的な動作であるが故に、その動きを見極めるには相当のhardning が必要である。
punch に比べ 蹴りは、in step した時に、その脚が軸脚となる為、その in step した足では蹴ることはできない。
つまり、in step した脚とは反対側の足でしか蹴ることはできないという身体機能上のrisk が存在するということである。
例えば、蹴り足を前に降ろすと、相手との distance は近くなる為、その反対側の足で蹴ってしまう。
同様に、蹴り足を引き戻すと、相手とのdistance は遠ざかり、反対側の足で蹴ろうとする
とその瞬間は、まだその足は軸脚となっている為、一旦、引き戻した脚に重心を移し換える
動作が必要となる。
その重心を移し換えるという動作は、引き戻す position によって大・小はあるが、
次の蹴り動作に移行するには必ず必要な動作である。
このように蹴りは自ずと動作が限定されてしまう。
従って、経験を積むと相手が左右どちらの足で蹴って来るのかが、相手の step により直感として掴み安くなる。

簡単に presentation してみよう。
相手が in step した瞬間に in step した脚を45度 side から compact に蹴り抜くと、相手は軸脚を蹴り抜かれる為、少なからず balance を崩すものである。
balance を崩さないにしても、相手の蹴り足は impact area から外れてしまう。
このように蹴りは、punch ほど自在には行使できないのが事実である。

相手の正面から相手の腰より上を蹴る時には、risk は覚悟しなければならない。
最大の risk は、股間が必ず開くことである。
相手の身長により多少の違いはあるが、股間蹴りは、compact に蹴れる為、相手の腰より上を蹴ると、相手に蹴りが hit する前に、相手の股間蹴りが速く hit してしまう。
しかも、股間を counter で合わせられやすい。
他にも risk は多々ある。
自分より数段体格に勝る相手に、正面から外からの大きな廻し蹴り等をすると、蹴り足が impactする前に、distance を詰められ、蹴り足を抱え込まれやすい。
また、顔面 punch ・肘打ち・batting head などの counter の餌食となる。
柔道や投げ技系の格闘家に、真正面からの廻し蹴りなど通用するものではない。蹴りを行使する時には、このような risk を可能な限り removal した戦い方を十分に trainingしておくことが大切である。
蹴りを出す timing ・engel・position を相手より有利なものにする training をしっかりと積むことである。
相手に対し、有利な position (掴まれない、叩かれない)から、最も crash force を示すkick engel を確保することである。
その technique の中心となるのが適切な step work・receive・short kick である。
それは、相手の45度 out side、135度 out side あるいは back position(相手の真後ろに密着した状態)に身を置く為の要となる。
ここで、注意して頂きたいことが二つある。
一つは、相手に対して相対して真横に密着しないことである。
相対して真横に密着することは、理論上、相手と真正面に向かい合うことと同じであるからである。
一歩、送り足をすれば、簡単に back position を奪われてしまう。
足を引っ掛けられ、裏投げされてしまったり、振り向き様に顔面に short punch を貰うなどの返し技をもらうrisk が高いからである。
相手と相対して、真横に密着した時は、素早く引き足をとると同時に相手の袖を引き付け counter を
とる。
二つは、相手の side position ・back position を奪う為に、相手が balance を崩していない状態に於いて 、掴みに入ってはいけないということである。
直ぐ様、両手で掴みに行くのは論外である。
あくまでも、適切な blow・receive・step work で相手の balance を崩し、更にその崩しを大きくする為に相手の弱い部位(髪・襟・袖など)を自分の腰を中心に、前下方・後ろ後方へ球転させながら引き崩すことである。

最後に、相手の45度 out side 、135度 out side から弓矢で刺すような蹴りは、相手に対して最も鋭角に内側に入って来る為、bloc されにくくcrash force も強い。

次回は、移動稽古切れのある punch や 蹴りとは、動力学上どのような動作を示しているのかを紹介したい。